やりたいことがわからないのは世の中にある仕事を知らないことが原因?

やりたいことがわからないと悩んでいる人たちを支援していると、よく聞く話があります。

それがこんな話です。

 

「私は今の仕事以外に経験がなくて、世の中にどんな仕事があるかを知らないんです。それが、やりたい仕事が見つからない原因だと思うんですよね」

 

これは一見筋が通っている仮説に思えますが、これって本当なのでしょうか?

 

今回は、この答えについてのお話です。

世の中にある仕事を知れば、やりたいことがわかるのか?

世の中にどんな仕事があるかを知らないから、やりたいことがわからない。

 

もし、これが本当の原因だとすれば、その解決策は、

「世の中にある仕事や職業について片っ端から調べていって情報を収集すれば、自分のやりたいことがわかる」

ということになります。

 

これが有効な解決策であれば、多くの人が「やりたいことがわからない」という悩みから救われるでしょう。

それは、世の中には職業や仕事についての情報が溢れているからです。

 

例えば、厚生労働省が現在の日本にある職業を取りまとめた「厚生労働省編職業分類」というものがあります。

ここには18,725種類の職業が掲載されていて、それぞれの具体的な職務内容も説明されています。

 

また、同じく厚生労働省が提供している「職業情報提供サイト job tag」というサイトがあります。

このサイトには、531種類の職業が掲載されていて、各職業の仕事内容だけでなく、就業する方法や労働条件など、詳しい情報が紹介されています。

 

他にも、Amazonで「職業図鑑」「仕事図鑑」と検索するとたくさんの書籍が出てきますし、大手の転職サイトにも職業の情報がたくさん掲載されています。

 

では、これらにすべて目を通して、掲載されている職業をインプットしたら、「これが私のやりたいことだ!」とビビビッとくるのでしょうか?

 

残念ながら、そのような奇跡はまず起こらないでしょう。

それは、これだけ多くの仕事や職業の情報があるにもかかわらず、「やりたいことがわからない」と悩む人が多くいることからもわかります。

 

これらのことから、「世の中にどんな仕事があるかを知らないことが、やりたいことがわからない原因なのか?」の回答は、「NO」となります。

未知の世界にやりたいことが眠っている?

「世の中にどんな仕事があるかを知らないから、やりたいことがわからない」という仮説は、「まだ私が知らない未知の世界の中に、きっと私のやりたいことがあるはず」という仮説や願望から来ています。

 

たしかに、未知の世界の中にやりたいことがある可能性はあるでしょう。

 

ただ、日本には18,725種類もの職業があり、さらに細かく言えば、同じ職業でも会社によって仕事内容が異なるため、すべての仕事を把握することが現実的には不可能です。

 

その膨大な仕事の中から闇雲にやりたいことを探すのは、広大な砂丘に落とした小さなピアスを何の手掛かりもなく探し続けることと同じです。

 

未知の世界を手探りで探すために、職業や仕事を調べていっても、やりたいことが見つかることにはつながっていかないのです。

 

では、やりたいことを見つけるためにはどういうアプローチが必要なのでしょうか?

やりたいことを見つける方法

やりたいことを見つけるためには、自分を知るアプローチからスタートすることが必要になります。

特に「自分らしさ」とは何かを知ることがカギとなります。

 

なぜなら、人間は自分らしくいられることは「やりたい!」と感じ、自分らしくいられないことからは「逃げたい」と感じるからです。

 

では、自分らしくいられる仕事とは、どんな仕事でしょうか?

それは次の3つを満たす仕事です。

 

自分の才能(強み)を発揮できる仕事

自分の興味が刺激される仕事

自分の価値観が満たされる仕事

 

この3つがそろう仕事だと自分らしく働くことができるため、「この仕事をもっとやりたい!」と感じるようになります。

 

つまり、やりたいことを見つけるスタートは、「才能」「興味」「価値観」の3つの自分らしさを知ることなのです。

そして、3つの自分らしさを知るには、未知の世界を手探りで探すのではなく、過去の自分の経験を振り返る方法が最も効果です。

 

その次の段階として、明確になった3つの自分らしさから、それに該当する仕事はどんなものかを探します。

仕事や職業について調べるのは、この段階に入ってからです。

そうすれば、ある程度条件を絞って仕事や職業を調べることができるため、効率的・効果的にやりたい仕事を見つけることができるようになるのです。

 

「自分らしさ」や「自分らしい仕事の見つけ方」については、他のコラムで詳しく紹介していますので、そちらも併せてご覧ください。

まとめ

やりたいことがわからないのは、世の中にどんな仕事があるかを知らないからである、という仮説は正しくない

仮に世の中にある仕事や職業の情報をすべて把握できたとしても、ビビビッときてやりたいことが見つかる奇跡は起きない

やりたいこと探しのスタートは「自分らしさ」を知ること

特に「才能」「興味」「価値観」という3つの自分らしさを知ることが重要

3つの自分らしさが明確になったら、次はそれに該当する仕事や職業はどんなものかを探す段階になる

 

(参考資料)職業情報が載っている資料のURL

●厚生労働省編職業分類(令和4年改定)

https://www.jil.go.jp/institute/seika/shokugyo/bunrui/index.html

●職業情報提供サイト job tag

https://shigoto.mhlw.go.jp/User