「給料の高い会社に転職しよう!」これが失敗する理由とは?

「もっと給料を上げたい!」

こういう理由で転職を考える人も多いと思います。

 

給料は高いに越したことはない。

確かにそれはそうなのですが、実は給料だけで転職先を決めてしまうと後悔する可能性が高くなります。

それはどうしてなのでしょうか?

 

今回は、給料を上げることを目的として転職すると失敗してしまう理由についてのお話です。

給料はいくらもらっても満足しない

給料を上げることを目的として転職すると失敗してしまう理由には、人間のモチベーションが関係しています。

 

仕事の要因とモチベーションの関係について研究した有名な理論に、ハーズバーグ((Herzberg, F.)の「動機付け要因・衛生要因」という理論があります。

 

ハーズバーグによると、給料はいくらもらっても仕事の満足感にはつながることはありません。

 

給料は仕事の不満足の要因となります。

しかし、給料が増えたとしても不満足は減少しますが、仕事の満足感が増えることありません。

 

もちろん、転職して給料が上がると一時的には嬉しくて、モチベーションが上がります。

しかし、人間は欲深い生き物です。

その上がった給料にすぐに慣れてしまって、「もっと欲しい!」となってしまうのです。

そのため、給料を上げることだけを目的として転職すると、次の転職先でもすぐに「もっと給料が高いところに転職したい」と思い始めます。

 

つまり給料を追いかけてしまうと、いつまでも仕事に満足感を覚えることなく、不満を抱え続けることになります。

そして不満を抱えると、仕事のモチベーションが低下していきます。

そうなると、転職先で成果を上げることができずに、給料も上がらない状態となります。

それで嫌になって、次の転職をしたとしても、給料をあげることはさらに難しくなっていきます。

 

これが給料を上げることを目的として転職すると失敗してしまう理由です。

仕事の満足につながる要因とつながらない要因

ここまでは給料は不満足の要因になるが、それがいくら充足しても満足感にはつながりにくいということを見てきました。

そのような要因を「衛生要因」といい、給料以外にも次のようなものがあります。

 

<衛生要因>

給料

労働条件(労働時間、職場環境など)

上司のマネジメント

職場の人間関係

会社の方針

 

では、逆に仕事の満足感につながる要因はどのようなものがあるのでしょうか?

そのような要因を「動機付け要因」といい、次のようなものがあります。

 

<動機付け要因>

自分の才能(強み)が発揮できる仕事

自分の興味が刺激される仕事

自分の価値観を満たしてくれる仕事

達成感

成長の実感

認められること、褒められること

責任や意義のある仕事を任されること

 

これらが満たされるとその仕事に満足感を覚え、仕事へのモチベーションが高くなります。

転職を成功させる秘訣

「もうこんな会社嫌だ!転職しよう」

こう心に誓う時には、給料や労働条件、職場の人間関係、上司などの「衛生要因」がきっかけとなることが多いです。

 

そうなると、不満に感じている衛生要因を充足させることを目的として転職しやすくなります。

例えば、こんな目的です。

 

・給料を上げるため

・残業が少ない職場で働くため

・今の職場から逃げるため

 

これらを目的として転職してしまうと、一時的にはストレスから解放されますが、また次の職場でも不満を抱える可能性が高くなります。

そのため、「転職したい!」と感じたら、衛生要因に目を向けるのではなく、動機付け要因に目を向けてみましょう。

 

不満のサインとなりやすいのが衛生要因ですが、実は動機付け要因が満たされていないことがモチベーションの低下につながっていることが多いのです。

転職したい影の真因といったところでしょうか。

 

なので、転職するのであれば、今満たされていない「動機付け要因」を満たすことのできる仕事や会社へ転職すると、仕事の満足度が上がりモチベーション高く働くことできます。

 

動機付け要因の中でも特に次の3つが今の仕事で満たされているかを確認しましょう。

 

✔ 自分の才能(強み)が発揮できているか?

✔ 自分の興味が刺激されているか?

✔ 自分の価値観は満たされているか?

 

これら「才能(強み)」「興味」「価値観」は、自分らしく働くために重要な3要素となります。

 

自分の興味ある分野で、才能(強み)を発揮でき、さらに自分の価値観も満たしてくれる仕事あれば、モチベーション高く働くことができ、成果も出しやすくなります。

そうすれば、達成感や成長の実感も得やすくなり、周囲からも認められます。

 

つまり、動機付け要因が満たされ、モチベーション高く仕事ができるようになるのです。

 

そのため、転職する前には、まず自分の「才能(強み)」「興味」「価値観」を理解しておく必要があります。

その3つを理解した上で、今の仕事ではどれが満たされていないかを分析してみます。

 

その次に、次の3つを満たすことのできる転職先はどこかを考えます。

自分の才能(強み)が発揮できる仕事内容であること

自分の興味が刺激される業界や分野であること

自分の価値観を満たしてくれる職場であること

 

これが転職を成功させる秘訣となります。

まとめ

給料を上げることを目的として転職すると失敗してしまう理由には、人間のモチベーションが関係している

給料が増えたとしても不満足感は減少するが、仕事の満足感が増えることはない

不満足の要因になるが、それがいくら充足しても満足感にはつながらない要因を「衛生要因」といい、次のようなものが該当する

⇒ 給料、労働条件(労働時間、職場環境など)、上司のマネジメント、職場の人間関係、会社の方針

仕事の満足感につながる要因を「動機付け要因」といい、次のようなものが該当する

⇒ 自分の才能(強み)が発揮できる仕事内容、自分の興味が刺激される仕事内容、自分の価値観を満たしてくれる仕事内容、達成感、成長の実感、認められること・褒められること、責任や意義のある仕事を任されること

転職するのであれば、満たされていない動機付け要因を満たすことのできる仕事や会社へ転職すると成功しやすい

 

(参考資料)「キャリアコンサルティング理論と実際」 木村周・下村英雄 著 一般社団法人雇用問題研究会