変化の激しい時代のキャリアにおいて最も必要な能力とは?

VUCAの時代

現代はVUCA(ブーカ)の時代である、というのを聞いたことがありますか?

VUCAは次の4つの単語の頭文字を取った言葉です。

 

Volatility      :変動性

Uncertainty:不確実性

Complexity :複雑性

Ambiguity   :曖昧性

 

VUCAとは、あらゆる物事が激しく変化し、複雑かつ曖昧な状態が続いて、将来の予測が難しいことをいいます。

 

変化が激しく将来の予測が難しい時代には、キャリアも複雑で思いもよらない変化を伴うものになっていきます。

 

昔のように大企業に勤めれば将来安泰であるということもなくなりました。

日本を代表するような企業でさえ、倒産や買収にあうことも珍しくありません。

 

当然、個人のキャリアも将来が見通せないような時代となっています。

 

では、こんな時代にキャリアを形成していくためには、どんな能力が最も必要となるのでしょうか?

キャリア・アダプタビリティ

変化の激しい現代において、キャリアを形成していく上で最も必要な能力は、変化への「適応力」です。

 

これはキャリアの理論家として有名なサビカス(Savickas,M.L.)が、「キャリア・アダプタビリティ(career adaptability)」という理論として提唱しました。

 

キャリア・アダプタビリティとは、現在および今後のキャリアにおける転機や環境の変化に対処するための能力のことをいいます。

そして、キャリア・アダプタビリティを向上させると、職業人として「ありたい自分」になることできるとサビカスは言っています。

 

それでは、キャリア・アダプタビリティはどうやって向上させればいいのでしょうか?

それには次の4つの要素を身につけることが必要となります。

 

キャリア関心(Concern)

キャリア統制(Control)

キャリア好奇心(Curiosity)

キャリア自信(Confidence)

 

それぞれ見ていきましょう。

 

キャリア関心

キャリア関心とは、自分のキャリアの未来について関心を持つことです。

具体的には、目の前の仕事だけでなく、3~5年後の未来のキャリアを意識して仕事をしているかどうかです。

 

キャリア関心が身についていると、自分の将来の変化にも関心を持つため、どんな変化が起こりそうかという情報を自然と収集するようになります。

これが適応力につながっていくのです。

 

キャリア統制

キャリア統制とは、自分の未来のキャリアを他人任せや会社任せにせず、自分の責任で構築しようと考えていることです。

具体的には、「自分のキャリアを創っていくのは私だ!」という自覚を持って行動しているかどうかです。

 

キャリア統制が身についていると、自分らしいキャリアを自分で創っていくために必要なことを常に考えて行動するようになります。

その必要なことの中には、将来の変化に備えようと勉強をしたり、スキルを磨いたりと準備をすることも含まれます。

これが適応力につながっていくのです。

 

キャリア好奇心

キャリア好奇心とは、自分の仕事とその周囲の環境について、好奇心をもって探索していることです。

具体的には、好奇心のアンテナを張って、興味を持った新しいことにチャレンジして、そこから学ぼうとしているかどうかです。

これは仕事もプライベートも両方です。

 

キャリア好奇心が身についていると、好奇心のアンテナを常に張っているため、変化を感じ取りやすくなります。

また、新しいことにチャレンジして知識やスキルを身につけていくため、大きな変化が起こった時にも対応する力が備わっていきます。

これが適応力につながっていくのです。

 

キャリア自信

キャリア自信とは、「自分はどんな変化が起こっても対応できる」という自信を持っていることです。

具体的には、今後の長いキャリアの中で、大きな変化が起こって困難な状況に陥ったとしても、自分であれば乗り越えられると信じられるかどうかです。

 

キャリア自信が身についていると、大きな変化が起こった時に、そこから逃げずに立ち向かうことができます。

これが適応力につながっていくのです。

 

4つの要素は身についていますか?

ここまでは、変化への適応力を向上させるために必要な4つの要素について見てきました。

 

あなたは、キャリア関心、キャリア統制、キャリア好奇心、キャリア自信の4要素は、すでに身についていますか?

 

自分の未来のキャリアに関心を持ち、自分のキャリアは自分で創るんだと自覚を持って行動する。

そして、好奇心のアンテナを張って、新しいことに挑戦していく。

 

この3つは意識を変えていくことで、身につけることができます。

 

最後のキャリア自信は、多くの成功体験を重ねていく中で作られていくものです。

具体的には、自分で考えて仕事を行い、成果を積み重ねていくことです。

 

仕事で成果を上げるためのカギとなるのは、あなたの「才能」です。

自分の才能を知って、それをうまく使いこなすことが成果につながります。

 

あなたは、自分の才能は何かを説明できますか?

もし、「自分には才能なんてないよ…」と思っているのであれば、それはもったいない思い込みです。

 

なぜなら、誰でも独自の才能を持っているからです。

ただ、それに気づいていないだけなのです。

 

才能については、別のコラムで詳しく紹介していますので、そちらをご覧ください。

 

キャリア関心、キャリア統制、キャリア好奇心、キャリア自信の4要素が身についているか、自分自身を振り返ってみてください。

まとめ

現代は、あらゆる物事が激しく変化し、複雑かつ曖昧な状態が続くため、将来の予測が難しいVUCA(ブーカ)の時代である。

VUCAの時代にキャリアを形成していく上で最も必要な能力は、変化への「適応力」である。

変化への適応力を理論として提唱したのが「キャリア・アダプタビリティ」

変化への適応力を向上させるには、キャリア関心、キャリア統制、キャリア好奇心、キャリア自信の4要素を身に付けることが必要

 

(参考資料)「新版キャリアの心理学」 渡辺三枝子 編著 ナカニシヤ出版