「キャリアの正解は1つしかない!」こんなことを思っていませんか?

「私のキャリアの正解は1つしかない。だから、それを見つけないといけない!」

 

そう信じて、その答えを探し続けている。

こんな人をときどき見かけます。

あなたはどうですか?

 

でも実はこう思っている人は、その答えが見つからずに苦しんでいることが多いんです。

それはなぜでしょうか?

 

今回は、キャリアの正解は1つしかないのか?についてのお話です。

不確実な社会、複雑なキャリア

現代社会は、変化のスピードが速く、どんどん複雑になっています。

例えば、次のような変化が起きていることは実感があるのではないでしょうか?

 

AI(人工知能)や IoT(モノのデジタル化・ネットワーク化)などの技術革新

デジタル経済の進化

グローバル化の進展

消費者の価値観・ニーズの多様化

世界情勢の複雑化・不安定化

 

そして、その変化の中で想像ができないようなことが頻繁に起こるなど不確実性が高まっています。

 

このような世の中では、個人のキャリアも複雑になっていきます。

さらに、キャリアの将来の予測もかなり難しくなります。

 

例えば、次のようなことが誰にでも起こりうるようになりました。

 

勤めている会社が買収される、倒産してしまう

突然リストラされる、早期退職に申し込むように迫られる

人間の仕事をコンピューターや機械が行うようになる

これまで培ってきた技術や知識が通用しなくなる、価値がなくなる

今まではなかった新しい職業や仕事が生まれてくる

 

このような不確実な世の中では、キャリアにおける1つの正解を見出すことは難しくなります。

だから、「私のキャリアの正解は1つしかない!」という考えに囚われてしまうと苦しむことになるのです。

 

では、この不確実な世の中でキャリアを考えていくにはどうすればよいのでしょうか?

VUCAの時代のキャリアで必要なものとは?

ここまでで見てきたとおり、現代は変化が激しく将来の予測が難しい時代です。

これをVUCA(ブーカ)の時代といいます。

 

VUCAは次の4つの単語の頭文字を取った言葉です。

Volatility:変動性

Uncertainty:不確実性

Complexity:複雑性

Ambiguity:曖昧性

 

上記からわかるとおり、あらゆる物事が激しく変化し、複雑かつ曖昧な状態が続いて、将来の予測が難しいことをVUCAといいます。

 

このVUCAの時代において、キャリアを形成していく上で最も必要なものは、「変化へ適応すること」です。

現在活躍しているキャリアの理論家の多くが、主体的に変化へ適応していくことの重要性を提唱していることからもわかります。

 

つまり、キャリアに1つの正解がある訳ではなく、その時々の変化に柔軟に対応しながらキャリアを選択していくことが必要な時代になっているということです。

 

では、変化に適応するためには具体的にどうすればいいのでしょうか?

今回は「キャリア・ドリフト」という考え方について紹介します。

キャリア・ドリフト

キャリア・ドリフト(Carrer Drift)とは、経営学者である金井壽宏が提唱した概念です。

ちなみに、ドリフト(drift)とは「漂流」という意味です。

 

キャリア・ドリフトの考え方

キャリア・ドリフトの考え方は次のとおりです。

 

キャリアはすべてをデザインせずに、節目以外はドリフトして、変化に身を任せながらドリフトを楽しむ

キャリア・ドリフトすると、その中に「よき偶然」や「思わぬ掘り出しもの(セレンディピティ)」があるため、それをキャリアに活かしていく

ただし、すべて流されるままになると漂流者になってしまうので、キャリアの大きな方向性は決めておくことと、キャリアの節目ではキャリア・デザインすることが必要

 

キャリアの節目とは

なお、キャリア・ドリフトの考え方に出てくる「キャリアの節目」とは、次のような契機を指します。

 

危機感やこのままでいいのかという焦燥感を覚えたとき   

メンターからの「今が節目だよ」という声を聞いたとき

やっていることが楽しくなってきたとき

年齢の節目、昇進や異動などの仕事のイベント

 

キャリア・ドリフトの応用モデル

キャリア・ドリフトを応用した変化を乗り越えるためのモデルが次のものです。

①⇒②⇒③⇒④⇒①・・・というようにサイクルしていくモデルになります。

今後のキャリアを考える際の参考にしてみてください。

 

① キャリアに方向感覚を持つ

夢や大きな目標を持って、その実現を模索する。

また、必要であれば節目ごとに夢や目標の修正をする。

 

② 節目だけはキャリア・デザインする

人生や仕事の節目ごとに、何が得意か、何がやりたいか、何に意味を感じるかを自問して、キャリアを自覚的に選択する

 

③ アクションする

キャリア・デザインしたら、その方向に力強い一歩を踏み出して、元気を持続する。

仕事が自分に合っているかを判断できるようになるまでは、すぐに辞めずに良い我慢はしつつ努力を続ける。

 

④ ドリフトも偶然も楽しみながら取り組む

次の転機までは退屈することがないように、偶然起こった機会を活かして楽しむ。

まとめ

変化の激しいVUCAの時代において「私のキャリアの正解は1つしかない!」という考えに囚われてしまうと苦しむことになる

VUCAの時代において、キャリアを形成していく上で最も必要なものは「変化へ適応すること」

変化へ適応していくために「キャリア・ドリフト」の考え方が参考になる

キャリア・ドリフトの考え方は次のとおり

● キャリアはすべてをデザインせずに、節目以外はドリフトして、変化に身を任せながらドリフトを楽しむ

● キャリア・ドリフトすると、その中に「よき偶然」や「思わぬ掘り出しもの(セレンディピティ)」があるため、それをキャリアに活かしていく

● ただし、すべて流されるままになると漂流者になってしまうので、キャリアの大きな 方向性は決めておくことと、キャリアの節目ではキャリア・デザインすることが必要